ルースキー島で2012年にAPECのサミットが開かれ、それまで船でしか行けなかった島に巨大なつり橋がかけられました。
このことからルースキー島へのアクセスが一気に楽になり、大学の移設や水族館にリゾート開発など賑わいを見せる島へと変化しつつあります。
ソ連時代の軍事施設も数多く残り、中でもヴォロシーロフ砲台はルースキー島でも最も人気のある観光名所です。
今回はルースキー島とはどんなところなのか基本情報から観光名所、アクセスの方法までご紹介します。
ウラジオストクのルースキー島とはどんな島?
ルースキー島はロシアのウラジオストクの南、ピョートル大帝湾に浮かぶ大きな面積の島です。
以前は船で渡る必要がありましたが、現在では船に加え連絡橋がかけられ車やバスでの入島も可能となりました。
ロシアの短い夏場には海水浴客でにぎわうスポットでもあります。
主な観光地はプリモルスキー水族館や巨大な砲台の博物館ヴォロシーロフ砲台、島に点在するかつてのソ連時代の軍事施設跡となっています。
ホテルや別荘などのリゾート開発も進みスーパーやカフェなど、ロシア極東地域で最大規模の極東連邦大学も島に移設したことで大学周辺にはニュータウンを形成するまでになりました。
新しく建設された場所とソ連時代の名残が今もなお残り、歴史の新旧が共存する魅力的な島がルースキー島です。
ルースキーとはロシア語でロシアの意味
ルースキー島のルースキーとはロシア語で「ロシア」の意味で、ロシア語で表示するとрусскийとなります。
ルースキー島を和訳するとロシアの島と、そこはストレートな表現が多いロシア。
島を指す言葉が「オーストラフ (остров)」なので、ロシア語でルースキー島は「オーストラフ・ルースキー(остров Русский)」となります。
かつては太平洋艦隊の拠点だった場所
ルースキー島はソ連時代に外国人の立ち入りが禁止されていたウラジオストクにおいて、さらに立ち入り制限の厳しかった場所の一つ。
ロシア人であっても民間人は立ち入ることができませんでした。
当時は太平洋艦隊の軍事施設などが置かれ、今もその名残を島で見ることができます。
朽ちた建物や放置された戦車などを目にすることができるので、当時の面影を今に知ることのできるスポットでもあります。
2012年にルースキー島でAPECのサミットが開かれた
ルースキー島では2012年にAPEC(アジア太平洋経済協力)のサミットが開かれました。
ウラジオストク市街地からの連絡橋もサミットに合わせて急ピッチ建設が進められたもので、建設当時はAPECに間に合うのかという声も。
APEC開催地だった場所に国立ウラジオストク極東連邦大学が移設となりました。
続いてはルースキー島にある主な観光スポット、見所を見ていきましょう。
ルースキー島にある施設や観光スポット4選!
ルースキー島は海水浴場をはじめ自然も多く残る場所で、ロシア人の保養先としてもよく利用されています。
保養もできるルースキー島の観光地や見所スポットを4つご案内します。
ロシア最大級の沿海州水族館
ルースキー島にはロシア最大級の水族館「プリモルスキー・オケアナリウム」があります。
広大な敷地に建物の外に巨大なカニの模型や、なぜか恐竜の模型まである不思議。
建物の中にはサメやワニ、カメなど一般的な生物の他にロシア沿海地方やバイカル湖などに生息する珍しい生物までいます。
地球誕生からの生物の歴史にそった生物模型が並べられているなど、生物と模型で表現された一風変わった水族館となっています。
ちなみにプリモルスキーとは「沿海」を指し、オケアナリウムは「水族館」の意味なので沿海水族館。
ウラジオストクの辺りはロシアでプリモルスキー・クライと呼ばれ、沿海地方と訳せます。
巨大な砲台の博物館ヴォロシーロフ砲台
巨大な砲台が残るヴォロシーロフ砲台は、砲台と地下5階にも及ぶ地下室が博物館となっています。
ヴォロシーロフ砲台はウラジオストクの防衛強化の一環として建造され、防衛強化の作戦と建造の位置決めを行ったヴォロシーロフ氏にちなんでそう名付けられました。
砲台は約40キロ先の標的を狙えるよう設計され、万が一攻撃された場合でも地下へ攻撃が及ばないよう地下室は厚いコンクリートで覆われています。
迫力ある砲台を間近で見ることができる、ルースキー島の人気の観光スポットとなっています。
極東ロシアで最大規模の極東連邦大学
巨大なルースキー大橋を渡ると、まず見えてくるのが国立ウラジオストク極東連邦大学です。
大学の歴史は1899年に始まりロシア極東地域で最も歴史と伝統がある大学ですが、現在の位置へは2012年に開催されたAPECのサミット跡地を利用しての移設となりました。
大学敷地内より運航されているバスを利用すると、ウラジオストクの中心街へは50分ほどです。
学生寮が大学の敷地内に数多く併設され、日本人や近隣アジアからの語学留学生も多く受け入れている国際色豊かな大学でもあります。
ルースキー島に架かる斜張橋も魅力の一つ
ウラジオストク市街地よりルースキー島に架かる巨大な斜張橋のルースキー大橋は全長1,104mもの長さを誇ります。
ルースキー大橋と同じ時期に金角湾にも大橋が掛けられ、海に面したベイエリアらしさをより印象付けることとなりました。
ウラジオストクへ行ったら欠かせない眺望ポイントの鷲ノ巣展望台で金角湾大橋を背景に記念撮影をし、今度は金角湾大橋とルースキー大橋を渡ってルースキー島に行くプランもいいですね。
ルースキー島へのアクセスと注意点
こちらではルースキー島へ行くに際し注意点と、アクセス方法を見てみましょう。
軍事基地周辺へは注意
島にはかつての軍事施設跡が点在し歴史を感じ取れる雰囲気になっていますが、中には近づいてはいけない場所もあります。
そういった場所近くにいると、場合によっては警察やロシア海軍などに拘束される恐れがありますので、事前に立ち入って良い場所かどうか確認してから訪れると良いでしょう。
海外の観光地全般に言えることですが、海外の観光時によくある犯罪のトップがスリ。
ウラジオストクでも残念ながらスリがあり、特に無防備な日本人が狙われやすかったりします。
日本から近いと言っても外国なので、スリなどの危険が常にあると思って観光をしましょう。
連絡橋は徒歩や自転車での横断が禁止
ルースキー島に行くには連絡橋を渡って行きますが、連絡橋は自動車専用道路となっています。
そのため自転車や徒歩での横断は禁止となっていますので、車かバスを利用して行きましょう。
ウラジオストク駅からルースキー島へ
ウラジオストク駅からバスでルースキー島を目指すなら15番の路線バスに乗ります。
15番の路線バスは眺望のよい鷲ノ巣展望台へも行くことができ、終点はプリモルスキー・オケアナリウムとなっています。
ウラジオストクのバスはバス中央やや後部から乗り、降りるときは前から降りますが、バスの運賃は降りる際に運転手に直接渡しましょう。
運賃は一律ですが、できるだけおつりが出にくいよう運賃を用意しておくとよいです。
バスよりも自由度が高いのがタクシーですが、ロシアのタクシーは乗車前に運賃の交渉を行い納得したら乗りましょう。
バスは本数が少ないのでタクシーがおすすめ
国立ウラジオストク極東連邦大学はバスが比較的よく来ますが、その他の場所は日本のように停留場が無かったりすることもあるので、バスが停まる場所かどうかの判断が難しいこともあります。
ロシアのバスを体験してみたい場合は別ですが、ルースキー島に行くのが目的ならタクシーで行くと良いでしょう。
行きと帰りに加え観光中に待機してもらう時間も含めて(約2時間程度)金額交渉をすると、往復の移動が楽になります。
ロシアのタクシーは日本のタクシーのように料金メーターがありません。
乗る前に行先を伝え金額交渉してからの乗車となり、自動ドアではなく自分でドアを開けての乗車となります。
営業許可の出していないタクシー(通称白タク)も多いので、乗る前に注意が必要です。
<まとめ>ウラジオストクのルースキー島で新旧の歴史を楽しもう
日本から2時間ちょっとで行けるウラジオストクのスポット、ルースキー島の観光やアクセスについてご紹介しました。
ルースキー島はかつて重要な軍事拠点だった名残が残り、中でもヴォロシーロフ砲台博物館は日本ではなかなかお目にかかれない建物です。
2012年に開催されたサミットに合わせて橋がかけられ、大学が移設された他にもリゾートとしての開発も進められたりしてきました。
ルースキー島は新旧の歴史を一緒に見られるスポットでもありますが、島へのアクセスは徒歩や自転車では行けないのでご注意を。
本数の少ないバスよりもタクシーでの観光がおすすめです。